実話映画『グリーンブック』タイトルの意味は何?あらすじ(ネタバレ)と感想

実話を基にした伝記コメディ映画。ゴールデングローブ賞も受賞した話題作です。

天才ピアニストの黒人ドンは8週間のアメリカ南部演奏旅行に出かけることに。しかし、1960年代はまだ黒人への差別が色濃くあり、特に南部は顕著でした。ドンは運転手兼用心棒で白人の運転手トニーを雇います。

最初はトニーも黒人を差別していましたが、ドンと過ごすうちに考えが変わるように。一方、最初は笑顔を見せなかったドンも徐々にトニーと打ち解けていきます。しかし、行く先々でドンは差別に遭い、波乱含みの旅が続きます。

彼らは無事演奏旅行を終えることができるのか。なぜ、ドンはわざわざ差別の強い南部へ演奏旅行へ出かけたのか。

タイトルの【グリーンブック】の意味は?

1930年代から1960年代のアメリカは非白人に対しての差別が行われていました。そこで黒人ドライバーがアメリカ南部を車で旅する際に、安全に利用できるモーテルや食事処が書かれたガイドブックが作られます。

作者がビクター・グリーンであったため、グリーン・ブックと呼ばれるようになりました。

劇中でも、トニーがレコード会社の担当者からグリーン・ブックを手渡され、それを頼りに泊まる宿を決めていきます。

『グリーンブック』あらすじ

トニー・ヴァレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)はイタリア系アメリカ人。「コパカバーナ」というナイトクラブで用心棒をしていましたが、店が改装閉店するため無職に。どうしたものかと思案していると、’ドクター’の運転手をしないかと誘われ面接に向かいます。

指定された場所はカーネギー・ホールのペントハウスでした。見た事もないような豪華な部屋に戸惑うトニー。そこへ黒人のドン・シャーリー(マハーシャラ・アリ)が現れます。ドンは医者ではなく、ミュージシャンでした。彼はアメリカ南部への8週間の演奏旅行の運転手兼執事を探していて、レコード会社からトニーを推されたことを話します。しかし、トニーは運転手は良いが執事は断ると言って立ち去りました。

翌朝、トニーの家に電話がかかってきます。ドンはトニーの妻のドロレス(リンダ・カーデリーニ)に2カ月夫を借りることを伝えました。採用されたのです。トニーが黒人に偏見があることを知っていたドロレスは、トニーがドンを殴って一週間で戻ってくるのではと心配します。

出発の日。レコード会社が新車を準備し、黒人用のモーテル、食事処が載っているガイドブック「黒人のためのグリーン・ブック」をトニーに渡します。家族と別れを惜しみ、クリスマスには戻る約束をしてトニーはドンを迎えに。ドンの家では、シャーリーズトリオのメンバー、チェロのオレグ(ディメター・マリノフ)、ベースのジョージ(マイク・ハットン)と出会いますが、二人はトニーの粗野な言動に不安を覚えます。

遂に8週間の演奏旅行が始まりました。がさつなトニーはタバコを吸い、サンドイッチを貪りながら運転。ドンはピアノは必ずスタインウェイ、夜にはカティサークを部屋に一本用意するように言います。よく話すトニーにドンは「少し静かにしてくれ」と言いますが、トニーは構わず話し続け、ドンをうんざりさせました。

最初の目的地であるピッツバーグにつき、トニーは初めてドンの演奏を聞きます。あまりの素晴らしさに思わず聞き入るトニー。演奏が終わってドンが会場から出てくると、トニーは外にいた運転手や召使たちと賭け事をしていました。理性的なドンにはトニーの行動がどうしても理解できません。

トニーはドロレスと約束した通り手紙を書きます。ドンのことは「あいつは天才だが、楽しそうじゃない」と記しました。あとは旅の出来事を記しています。

ケンタッキー州では、本場のフライドチキンを購入。トニーはドンにも勧めます。断るドンでしたが「そっちに投げるぞ!」とトニーは無理やり渡します。フライドチキンを食べた事がないドンは戸惑いますが、食べてみると美味しさに驚き、笑顔になりました。夜になってホテルに到着するも、そこは黒人専用の薄汚いモーテル。上品なドンにはなじめない様子で外へ出かけてしまいます。近くのバーに入ると白人によって袋叩きに遭い、トニーに救出されました。

次の会場は個人の邸宅での演奏会でした。ドンがトイレに行こうとすると、招待主に家の中のトイレではなく、外の黒人用の汚いトイレを使うように言われ、ドンはモーテルに戻って用を足します。会場に戻ったドンは何事もなかったかのように招待客と歓談。トニーは「あんな差別されて」と怒りますが、オレグは「南に来なければ、3倍は稼げた。なぜ彼が南へ来たかわかるか?」と問いかけます。

ある日、トニーの書く手紙を見てドンが直してやるといいます。言われるがままに書き直すトニー。その後もトニーの手紙をドンは手伝いました。

メイコンで演奏会が終わった夜、警察にトニーは呼ばれます。ドンが同性愛者の男性といたため逮捕されたのでした。トニーは穏便に済ますため金を渡して警官を丸めこみ、ドンは釈放されます。買収するなんてと怒るドンでしたが、一人で出歩くなと言っただろとトニーに叱られます。

気まずいままに、メンフィスのホテルについた二人が車を降りると、トニーの知り合いに偶然出会います。ドンを見た知り合いたちはイタリア語でトニーに話しかけ、「俺が仕事を紹介してやる」と誘います。トニーは夜にバーで知り合いと会う事にしましたが、部屋を出るとドンがいました。ドンはイタリア語も分かり、内容を聞いていたのです。ドンはトニーを正式なツアーマネージャーにすると申し出て、昨日のことを謝罪。トニーはマネージャーの件は断るも、謝罪を受け入れました。

順調に演奏会は続きましたが、大雨の夜、道に迷い更にパトカーに車を止められます。黒人が夜間に出歩くのは禁止であり、身分証を見せろと二人は車から降ろされます。更にトニーは警官に侮辱されたため殴ってしまい、二人とも拘置所に入れられることに。しかし、ドクは司法長官のロバート・ケネディに連絡し、圧力をかけてもらい二人は釈放にされました。

釈放され再び走り出した二人は言い争いに。ドンは怒り、雨の中飛び出します。「金持ちの白人たちは教養人ぶって私の演奏を聴く。でもそのほかではただのニガー。でもその痛みを分かち合う仲間すらいない。白人でもない黒人でもない、男でもない私は何者だ!」と怒りをぶちまけます。ドンの胸の内を知り驚くトニーはかける言葉が見つかりません。

その夜、黒人用のモーテルに二人は宿泊。いつものように手紙を書いているトニーに、ドンが声をかけると、中身は素晴らしい内容になっていました。兄弟に手紙を書かないのか?というトニーにドンは書かないと答えます。「さみしい時こそ先手を打たないと」というトニー。明日は遂に演奏会最後の日です。

『グリーンブック』結末ネタバレ

ついに最後の演奏地、バーミングハムのホテルに到着。しかし、通された楽屋は物置でした。時間があるので食事をしようと先にトニーはレストランに行きます。そこへオレグとジョージが話しかけてきました。わざわざドンが南部の演奏会に出た理由を語りだします。ドンは勇気が人の心を変えるからと、黒人の差別が色濃い地域にわざわざ来たのでした。

着替えたドンがレストランで食事をしようとすると、黒人は利用できないと断られます。ここで演奏するのにと抗議しますが、ルールだからとなおも断られました。支配人はトニーに100ドルでドンを説得してくれと金を渡そうとし、思わず殴りそうになったトニーですが、ドンに止められ思いとどまります。「君が演奏しろというならしよう。」とドンは言いますが、トニーは「よそへ行こう。」と答えました。ドンは演奏をキャンセルし、レストランを後にします。

二人は近くの黒人専用レストランに向かいました。立派な身なりのドンに、皆が何事かと彼に注目します。トニーが「彼は天才ピアニストだ」と言うと、店員にピアノを弾くよう促されます。ドンはこのツアーで初めてスタインウェイ以外の小さなピアノを弾き、店は大盛り上がり。楽しかったと笑うドン。この旅一番の笑顔でした。

店を出ると、ドンは「今から戻ればクリスマスイブに間に合う」とニューヨークに帰ることにします。

しかし大雪と長距離ドライブで疲れたトニーはどこかで休もうと音を上げます。しかしそれでも車は止まりません。ついにニューヨークのトニーの家に着くと、運転していたのはドンでした。家に寄っていけというトニーにドンは帰ると言います。

8週間ぶりの我が家でくつろぐも浮かない顔のトニー。そこへ質屋の夫婦がやってきました。歓迎してドアを閉めようとすると、そこにはシャンパンを持ったドンが。トニーは笑顔でドンを迎え、家族に紹介します。

トニーの家族は一瞬戸惑いますが、彼の席を作れ!と歓迎します。ドロレスもドンを歓迎し、手紙の感謝を述べました。

『グリーンブック』ここに注目!

役作りのために、大幅な増量をしたというトニー役のヴィゴ・モーテンセン。日本ではロード・オブ・ザ・リングのアラゴルン役でお馴染みですが、あまりの変わりように一瞬誰だか分からないほどでした。

ドン役マハーシャラ・アリは溢れ出る知性をしっかりと身に纏って存在感抜群。行く先々で感じる彼の孤独もしっかり伝わってきました。トニーとドクの二人は車内で色々な話をして打ち解けていきますが、その会話も面白いです。ケンタッキーのくだりは特にコミカルでした。

『グリーンブック』まとめ感想

二人が南部旅行に出かけた時のトニーの実年齢からすると、ヴィゴは少々年上過ぎるのではと思いましたが、観ていくにつれ気にならなくなりました。

伝記映画であり、黒人差別が描かれていますが、コメディの要素もあるため重すぎない内容になっています。

白人にも黒人にもなれないドンの孤独を、寂しいなら先手を打てと言ったトニー。勇気を出したドンをトニーが受け入れ、トニーの家族とクリスマスを過ごすラストは感動でした。

 

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